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足場の悪い石畳を、打楽器の連弾のように様々な姿が打ち鳴らしていく。
その手段は己の脚であり、周囲の視線を受けて闊歩する馬の蹄鉄であり、言い表しがたい他の何かであった。
「――おい、それって○51の新作か」
「ああ。現用デザイン準拠の銃が出るのを待ってた甲斐があったわ」
「どうだよ?」
「スキル補正が少ないし特殊弾一切撃てねえけど、やっぱ現代銃は威力重視だよな。○51はそこらへん分かってるわ」
童話やサーガから出てきたような鎧姿が、M16を肩から提げたギリースーツと談笑している。
その向こう、一回のクエスト単位で雇用できる傭兵用情報板の前では、
「――で、遠距離アタッカーが必要なんすけど、よかったら参加してくれません?」
「えー、わたしの装備爆砕系だけど大丈夫?着弾炸裂式だから近接系と相性悪いかもだよ」
「段幕張って長距離砲の照準相殺してくれるだけでも結構助かるんす。自分ある程度なら避けられるんで」
「じゃあ混ぜてもらおうかなー……。ゲートコード教えてもらっていい?」
身の丈3mを超える有翼の竜人が魔法少女のような桃色の衣装に身を包んだ少女に声をかけていた。
服装の意匠も、装備の年代も、種族すら混ぜられた混沌が、独特の雰囲気を作って街として広がる。
その光景を見ているとチャイムの音が一つ鳴り、目の前に小型の情報板が浮かび上がった。
『【WELCOME!】
オンラインゲーム[∞-Gate]のメインロビーへようこそ』
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