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「ごきげんよう、アサギ」
振り向くと、新たな少女が門から現れる。
「ナイト。偶然だね」
「きちんと学習プログラムを終わらせてからインすれば、これくらいの時間になりますわ」
アサギの背後から隣に並び立つのは、巨大なパーツを浮かべる少女だった。
ナイトと呼ばれた彼女の背格好はアサギとそう変わらない。
白を基調にしたドレスの周囲を守護するように、複数の板が浮いている。
周囲を覆う4枚のタワーシールドと、背面で上下する大型ブレードを従え、ナイトはアサギの方を向く。
「SAW'LD OUTの連中にPKされかけたと聞きましたが……災難でしたわね」
ああ、とアサギは苦笑と共に、
「結構危なかったよ。審判官の人に助けてもらったからなんとかなったけど……」
「ソロ狩りは行くなと、常々わたくし申し上げていたはずではありませんこと?」
「簡単そうなクエストだったから……はは」
「わたくしも貴女も、単独で戦闘に巻き込まれたら対応しきれる戦職ではありませんのに」
「いやあ……返す言葉もありませんです、はい」
困ったような笑みを浮かべるアサギをしばし睨んでいたナイトは、やがて大袈裟なため息を吐く。
「――ともあれ、PKを免れたことは幸いでしたわ」
「そうだね」
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