47人が本棚に入れています
本棚に追加
他のゲームと比べてレベルが上がる速度が早く、そもそもレベルと強さが大きく関係していないなど、デメリットは少ない。
単純に人対人の対戦を楽しめるような配慮がされていたのだ。
PKによるメリットなどもあり、ヘビーユーザーの間では育成のためのPKは“アリ”とされていた。
また、PKを忌避するプレイヤーは名前の横に手の平を模したマークを付けることで、その他のプレイヤーにPKしないよう意思表示することができ、一定の成果を上げていた。
[∞-Gate]はオンラインゲームでマナー問題が多発していたPKというシステムについて、ゲームバランスの点から成功例の一つと言われていた。
SAW'LD OUTも、発足当時はPKによる恩恵を求めたヘビーユーザー達が構成員同士でPKしあうだけの集団だった。
ギルドに所属しているプレイヤー以外に絶対に手を出さない点や、マナーを管理する上級者が多くいたため、審判官や運営も静観していたのだ。
しかし、その動きが最近になって急変した。
違法に改造した武器を携え、マナーをあざ笑うかのように集団で一般プレイヤーに襲い掛かり、挙句の果てに審判官にすら刃を向ける。
崇高な剣闘士達は、下劣な狩人へと身を落とし、一般プレイヤーを恐怖に叩き込んだ。
それに便乗するように、それまで規約に則って遊んでいたプレイヤーの中にも、違法武器や悪質なPKに手を染めるようなプレイヤーが現れ始めた。
この事態に対して、運営は審判長【Oz】を筆頭とする審判官達の権限強化、積極的な活動を奨励することで対策とした。
あらゆる防具、防御スキルに対して有効打を叩き込める【断撃】、
術式の一切を無効化する浸透破砕術式砲を搭載した高防御の鎧、
そして、ギルド専用エリアやミッション中のフィールドなど、あらゆる場所への自由な侵入が出来るアイテム【審判の証】
これらを与えることで審判官の戦闘力は通常プレイヤーと一線を画し、改造武器を装備した悪質プレイヤーとの大抗争の図が出来上がった。
審判長率いる審判官達と、姿なき大量のPK達との戦いは熾烈を極め、次第に泥沼化していった。
最初のコメントを投稿しよう!