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実年齢以上の雰囲気を感じさせる、掘りの深い壮年は表情を表さないまま404へ告げた。
「必要だからさ」
「それでは……!!」
説明になっていない、と若き審判官は吼えた。
尖った気配を放つ審判官とフラットな表情を浮かべたままの審判長との間で沈黙が流れた。
「納得はしないだろうな。俺もお前の理解は要らない」
「何……」
審判長が告げた言葉に、404は一瞬言葉を失った。
次の句を飲み込むように視線を下に落としたが、やがて目の高さを戻す。
「審判長の独断で一審判官の進退を断行するなど――」
「それは違うな」
その言葉と同時、
「!」
鋼同士を打ち鳴らす音が連続した。
審判長の脇を固めていた数十の審判官達が一斉に立ち上がり、背の騎士剣に手をかけたのだ。
言っただろう、と一人座したままの男が言う。
「俺の独断じゃあない」
「そこまでして私を排除するのか……!」
「ああ、今は袂を分かつ」
それが必要なんだ。
そう言って、審判長は指を組み直した。
無数の騎士剣が放つ光を受けた404は俯き、やがて顔を上げて審判長を見据えた。
審判長と、審判官に視線を向けて両手を広げた。
訴えるように、
「――審判長、審判官の同志諸君」
聞け。
「今、私たちが内輪で揉めている場合ではないだろう」
一語一語、目の前に置いていくように言葉を作る。
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