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黒の上に強い光が差し、目の前が赤に変わる。
強い白の光を受けて、透けるような赤。
それが目を閉じた状態だと気付くのには少々時間を要し、ややあって404は目を開けた。
視界が開けると同時、真上から差し込む陽光を直視してしまって思わず光に手をかざす。
手で防いでも強く感じる光に目が慣れてきた頃、ようやく周囲が見え始めた。
404が居るのは室内であり、上から差す光は天井に開いた円形の天窓からだ。
身体は横になっていて、背中には鎧越しに硬い床の感触が帰ってくる。
横になっていても分かる、非常に高い天井は複数の階をぶち抜いたのか。
木材と白塗りの石壁で構築された、小洒落たカフェのようなレイアウトの室内は、外からの陽光で柔らかく照らされている。
「ふ、」
短く息を吸って、腹筋と肘の押し上げで上体を起こし、自身の体を見下ろす。
――脚が……
断たれた膝から下が具足と共に戻っていて、傷だらけの鎧が色以外は審判官の時と変わらない姿に修復されていた。
404が身体を確かめていると、室内にフィールド転移の光があふれ、その中からアサギが現れた。
「――あ、再ログイン出来たんだね。ダメージがひどかったから、もっと時間がかかると思ってたよ」
「ここは……?」
アサギは笑みを浮かべながら404の視界を横切り、手近の椅子を取る。
404の正面に運んで腰掛け、ようこそ、と両手を広げた。
「――ようこそ。
私達の灰色旅団(カラーレス・ブリゲイト)へ」
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