【DEATH-WORM】

3/57
46人が本棚に入れています
本棚に追加
/111ページ
「灰色旅団……」 繰り返した言葉に、アサギが笑みて頷く。 「――そ。旅団って名前の割にはちっちゃいけどね。私や、ナイトも所属してるんだよ。 覚えてる?私と一緒にいた、盾を浮かせた金髪の……」 言葉を聞きながら、あらためて室内を眺めた。 左側にはカウンターと背の高い椅子が据えられており、見上げれば換気用の羽根がゆるやかに回っている。 アサギが現れた右側はフィールド移動用の円形陣が光る。 室内は様々な小物雑貨で装飾されているが、乱雑した印象を受けないのは配置のセンスか。 ゲーム内のエリアらしからぬ、非常に現実的な空間に鎧姿の自分が居ることの方が、むしろ不自然を感じる。 落ち着ける雰囲気の空間を見渡した範囲では他のプレイヤーの姿は見えない。 そこまで見ていて、ふと404の心の中に疑問が浮き上がってきた。 「ここがギルドホームなら、どうして俺が入れたんだ」 ギルドは[∞-Gate]内で同じ目的を持つ者同士が作る組織だ。 ゲーム進行を有利に進めたり、同じ趣味を持つ者同士で交流したり、ギルドを組織する者によって、行動方針は様々だ。 PKを活動方針に据えるギルド、SAW'LD OUTもある意味でゲームシステムに乗っ取ったギルドと言える。 各ギルドは活動の拠点として、ギルドホームと呼ばれるフィールドを作る権利を得られるのだが、 「ギルドに所属していないプレイヤーは、ギルドホームに侵入出来ないはずだ」
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!