第一日

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「ぅう~…ふぐぁっ…!!」 うつ伏せの女の腹に足を差し入れ、転がした 背中をもう一回蹴ってドア付近に転がす 女がまたうめく 酔ってんだから、転がされたら余計気持ち悪いよなぁ? そうだよなあ? 「ふっげぇ…気持ちワル…」 いい気味だバーカざまあ見ろ ドアを開けて、女を蹴り出した べちゃっ、と何のひねりも色気もねえ音がした 「ねえ~…イサギくん~…」 本格的に吐きそうな女 「ぜってえ入れねえから」 「うん~…じゃ~それでもいいからさぁ~…」 あ? 「…何か、本、持ってきて…」 はあ? 「なんだって?」 「本…無かったら雑誌とかチラシとか…活字だったらなんでもいいから~…」 ますます意味分からん 「なにすんだよ、んなモン」 「あっははぁ~読むに決まってんじゃあぁん、イサギくん酔ってんな~?」 俺は酔いは酔いでも『ほろ』だバーカてめえはどう見ても『泥』だろうが てめえの奇行のせいでそんな『ほろ』もぶっ飛んだがな!! 「断る」 「お願いしますぅ~!活字あったら寝れっからぁ!」 人ん家の前でデカイ声出すなクソアマ 活字あったら寝れるってんなもん 「てめえん家で寝ろや」 「あたしぃ…家ねーんだぁ…」 はあぁ? 今時家ねえってどこぞの解散家族かてめえは 「いつも漫喫なんだぁけど~今日は泊まる金もねー!!…ってことでぇ、イサギくん!!金か泊まる場所か活字をめぐんでくださいぃ~」 めぐんでって、そのうちのどれ一つとて、返すあてもねえってか上等だこの野郎 …んだったら勿論めぐむのは、一番損害が少ねえやつだ 一旦部屋に入り、やっても惜しくねえ活字を探した そんで、若干吐く前の咳き込み動作に入ってやがる女の頭の上に、望み通り、『活字』を落としてやった
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