依頼1:こちらアヤカシ探偵事務所

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「善人さんは不幸の塊みたいな人なんですから、それ位がちょうどいいんですよ」 「そんな清々しい笑顔で不幸の塊って言われても。まぁ否定しづらいとこではあるんだけど……」 「そんなに私の煎れたお茶は飲めないって言うんですね……」 「いただきます!!ぶはぁぁあ!」 マドカちゃんが今にも泣き出しそうに目を潤わせるもんだから、一気にお茶を流し込んだけど、もちろん吐き出した。 茶柱がまさか形を崩さずに入ってくるとは。これは想定外。こんなもん飲み込めるか!本当に怪奇事件になるとこだったわ! 「吐き出すだなんて酷い!私の煎れたお茶なんて飲めないってわけですか。そうですかわかりました!実家に帰らせていただきます!大変お世話をしてきました!」 「ちょと待ってマドカちゃん。実家ってどこ?しかも、お世話になりましたじゃないんだ……とりあえず今のはナシ!もう一回チャンスを!」 一体全体どこから取り出したかわからない古典的な唐獅子模様の風呂敷に荷物をまとめ始めたマドカちゃん。 それを必死に食い止めているといきなり事務所の扉が開かれた。
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