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ずいぶんとなめた口をきく子供だ。しかも、見下されてるし。
まぁ"宝珠"を付けてる身分ですからそれも致し方ないんだが。
手首に付けているブレスレットに埋め込まれた青い宝石が"宝珠"と呼ばれるもの。こいつは憑き者の力の抑止力になっている。
その昔、藤咲藤一郎なる偉人が作り上げたこの世界にはなくてはならない物だ。
ちなみにどれくらい力を抑えてくれるかはお値段次第。安い買い物ではないが、生きていくための必要経費なので仕方ないのだ。
そんな有り難い物なのだが、宝珠のせいで弊害も出来てしまった。
この子供が俺を見下しているように、宝珠を付けている人は、憑き者の力もちゃんと扱えない人。いわゆる"無能"と言う名のレッテルを無条件で貼られてしまうのだ。
"宝珠を付けている"それだけで、学校に行けばたちまち違う意味でヒーローになり、社会に出ても働くにしても簡単に受け入れてくれる会社は正直少ない。みんなして冷ややかな視線を送ってくるんだ。
俺も学生時代にバイトの面接で何度凍てつく視線を浴びてきた事か。
そんな無能の俺を不安げに見ている男の子を亜心先輩は楽しそうに諭していた。
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