依頼1:こちらアヤカシ探偵事務所

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俺が無駄な思慮にふけっていると、マドカちゃんは俺の方を見て、待ってましたと言わんばかりの笑顔を向けてきた。 「そう言われると思いました!思ってましたよ!はいどうぞ。今日のお茶は茶柱も立ってますからきっと良いことがありますよ」 そう言うと、湯飲み茶碗がふよふよと空中移動をしながら俺の机の上に着地した。 これはポルターガイストの応用らしい。実際には物は持てないのだとか。映画や漫画とは違うみたいだ。 だから、客が来た時なんかはミクロの幅で浮かせて、物を持っているように見せている。そんな無駄に器用なマネを常にしているとの事。 まぁ、九十九神であるマドカちゃんならこんなことは、お茶のこさいさい。些細な事なんだとか。 そう言えばこの前、依頼者が来た時に、『可愛らしいお嬢さんね』等と誉められたら、湯飲み茶碗をフルに使って『茶』と言う漢字を描いてたな。 付き合いは長いんだが、どうも感情表現だけは今だにうまく掴みきれてない。
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