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「さすがマドカちゃんは気が利くね 」
湯呑み片手にマドカちゃんにお礼を言う。俺は彼女を誉める事を忘れない。どんな些細な事でもだ。感謝の気持ちと言うのもあるが、それ以上に彼女には何か一つ用件をこなしてくれたら誉めなくてはいけないと言う暗黙のルールがあるのだ。
そう。あれは、まだマドカちゃんと出会ったばかりの頃。
マドカちゃんにデータの入力をお願いしたまま、書類整理やら依頼やらで相手をしなかったら……三日間パソコンの中から出てこなかった。
最初意味が分からなかった。
しかし事務所の電気、水道、ガス、ありとあらゆるインフラを差し止められたどころか買ってきておいた非常食すら廃棄されてしまっていた。
これにはさすがの俺も参った。仕事が出来ないだけでなく、自宅としてもこの事務所を使ってる俺としてはまさしく死活問題。
とりあえずご機嫌伺いも兼ねて、単一電池を差し出してみたが何の応答もなかった。
マンガンがいけなかったのか?アルカリにすべきだったのか?はてまた単三のが良かったのかと悩んでいたところ、パソコンが急に立ち上がり、ブラウザに文字が浮かび上がってきたのだ。
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