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一瞬の中で6つの銃声が辺りをつんざいたのは。
中年男の身体が体操選手のように躍動する。その動きは年齢を感じさせない。
弾け跳ぶように見えるその身体から6回の発光。
床を転がった中年男がボトムから取り出した2丁の拳銃が爆音を奏でたのだ。
幸いここは裏通りの更に奥まった位置にある。
管理塔がこの惨事を街全体にニュースとして流すまでには時間があるだろう。
「こんな連中が正式な型番を使ってるわけはないな。照合には手間がかるだろう」
中年男はおもむろに携帯端末を取り出す。
中年男、いや、工作員は変装と作り物の顔をまとめて引き剥がした。
「作戦の第1は終了。我々が持っていたわずかな情報に奴らは食い付きました。このアジトからさらなる手がかりを探して見ます。それと、仲間がまだいるかも知れないので、至急救援を」
工作員の男は仕留めた男たちの懐から煙草をくすね取ると、それを吸い、鼻につく薬筴の匂いを中和する。
ジャケットを翻しながら工作員は、端末のスイッチをオフにした。
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