ーprologー

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M side 「今助けてやるからな。」 政府に助成している企業の1つであるここにも、やはり存在していた。 150年前の政府の政策により近年では数少なくなった能力を持つ人間、 ……しかも思考能力が低く暴力などに弱い子供を使った、実験や能力を極限まで使わせる労働… それがこの企業にも、利益を得るひとつの方法として存在していた。 “内”から拐われてきた子から、家庭の事情やらで高値で売られた子、 更には孤児施設や、配偶実験施設などから買われてきた子も居るだろう。 俺はその劣悪な大人達の被害にあっている子達を逃がす為、管理室に潜入しているカズたちと連携し、閉じ込められている部屋から連れ出す任務にあたっている。 「……やっ…だ……ぶたない、で…!」 「…大丈夫。もう大丈夫だから。俺はヒデェ事なんかしねぇし、こっから必ず助けてやっから…。だから、もうちょい頑張ろう…な?」 数々の虐待を受けてきただろう子供たちの心を開き、外へと連れ出すのが俺の任務。 何故仲間内の中で俺かと言えば、コイツらの痛みが一番解るから…… 『駿くん!そっちに兵士っぽい人達が大勢向かってる』 小部屋に閉じ込められて怯える子供達の心を開くために接していると、耳に嵌めた小型のインカムからカズの声が聞こえ、敵がもうじき来ることを知らせてくれる。 「ああ、わかった。この子らの安全は任せた。……皆、この部屋ん中入ってろ!」 インカムに手を当て、カズに返事を返し指示を聞くと、部屋の前で待たせていた他の部屋に居た子たちを、今まで居た部屋の中へ入らせ、 大丈夫だから待ってろよと伝えた後扉を閉じると、カズが遠隔操作で鍵をロックした音が聞こえた。 そして、ホッと息を吐いたのも束の間、前を向けばゾロゾロと兵達が俺を囲み矛先を向け、180゚取り囲んでいく。 .
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