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「ククッ。袋のネズミだなぁ。さて、大切な備品たちを返して貰おうか。」
「ハッ。あいつらを物扱いかよ。…誰にも一切容赦しねぇから。」
兵を指揮している奴。
恐らくこの会社の人間が一度前へ出てきて俺に子供らを渡せと命令をしてきたが、当然はね除ける。
容赦しないという俺の挑発に、明らかに苛立ちを覚えた形相の相手は、兵達にやってしまえと静かに命令すると奥の方へと下がっていく。
普段この人数ならば、暗器や刀で対応しようとも思えるが、背後のドアを何としてでも守らなければならない状況下で、武器などで対応する暇は微塵もなく、一気に片付ける事を優先すべきだと囲まれだした時から考えていた。
状況が状況だけに仕方ないかと溜め息を小さく吐くと、指揮官の命令に兵たちがジリジリと寄ってきて、
俺は右手首のブレスレットを手首にグッと押し付けた後、左から右へと体の周りをぐるりと、一線を描くように素早く振り抜く。
手首から微量に流れ出た血液が、手で描いた軌道上に一定の感覚で粒状に浮かぶ。
「後悔、すんなよ!」
叫んだと同時に血液の粒が核となり、そこから無数の針をハイスピードで射出していく。
この針は核となっている血液自体が毒だから、カスった時点で麻痺は確定、運が悪ければ即死だ。
大勢いた兵達は全員死ぬか倒れるかし、目の前にはわざと残した命令を下した奴一人だけになった。
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