出港前夜

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-時刻2000、同基地内作戦会議室-   壁に黒板が掛けられ、椅子だけが並べられたこの部屋には、明日出発するウィッチ、総勢32名が神経な表情で作戦内容を聞いていた。 「明日、0900に横須賀を発ち、マリアナ沖に着き次第、作戦が始まる。」片手に何枚かに束ねられた書類を持って内容を伝達しているのは翔鶴飛行隊隊長、山寺京子少佐である。 文武両道で、刀を持った時の立ち姿が絶品と言われ、この部隊に配属される事を夢見るウィッチも居るとか。   その間にも話は続き、編隊飛行やどのようなネウロイが確認されているのかが伝達された。 「何か、質問はあるか?なければ、五十嵐少佐に部隊配属を言ってもらう」  そう言って山寺が壁際に寄ると入れ替わりに、五十嵐少佐が出てくる。  五十嵐咲少佐は瑞鶴飛行隊隊長で、翔鶴飛行隊の山寺京子とは公私共に仲が良く、非番の時は居酒屋で飲むくらいである。剣術では京子の右にでる者は居ないと称されている。また通称が「瑞鶴の守り神」と言われ、今まで瑞鶴を無傷で護ってきたと言われている。「では配属部隊を通達します……」  伝達が終わり、誰も居なくなった部屋には京子と咲はいた。 「久しぶりね京子、部隊は違えど一緒に飛べるなんて嬉しいわ」 「咲、私もだ!」   二人はお猪口に扶桑酒を注いで飲んでいた。 「すまないな、無理に誘ってしまって…」 「気にしなくていいわよ、京子。ちょうど、私も飲みたかったんだから」  月明かりが差し込む薄暗い部屋で二人は日付が変わる直前まで飲んだ。
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