私の愛犬を探してほしい

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 うちの店の二軒隣にある店。彼女はそこの店のマスターの娘で、名をボンゴレアという。  年齢は18才。残念ながら私とタメであり、昔からの幼なじみでもある。 「今は私ひとりよ。分かったなら自分の巣へと帰りなさい」 「ふふん、今のは私への敗北宣言と取るけど構わないわよね?」 「え! どこをどんな風に取った?」  思わず目を丸くしてしまったわ。髪をかきあげながら不適に笑うボンゴレアが許可してないのに店の中に入ってきた。 「別にあんな無愛想な男が居ようが居なかろうが構わないのよね」  当然のような顔をして私の正面の席に着席したボンゴレア。  とりあえずグラスに水を注いでこの子の頭に掛けてやるか。 「きゃあああ冷たい!」  本当にやってしまった。 「な、何してんのよあんた! なぜ人様の頭に水をっ!」 「どういう訳かは私にもさっぱりで……」 「バカやろう! タオルを出せ早く!」  “信じられない”とか“こんなのが客を相手にする時代か”とか言われ放題になってる。  言われるがままに近くにあったタオルをボンゴレアに渡し……タオル無いから布巾でもいいよね? 「まったくあんたの行動にはいつもいつも! て、おいこれ布巾じゃないのか!」 「だってタオルらしき布はここにはそれしか……」 「バカ!」  顔面に布巾を投げつけてきやがった。
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