私の愛犬を探してほしい

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 ぷう、と頬を膨らませたボンゴレアは、別に何を言い返してくるでもなく、席を立つ。 「この時間になんで店を閉めてるのよ? 貴方の所だけ夜更けが数時間早くやってきたりするのかしら」 「……知らないわよ。ほれ、用事があるなら言う。無いなら帰る!」  私が言った後、しばらくこちらを睨んでいたボンゴレアは、何かを言いたげに口を開きかけるのだが、それをやめ。  また開きかけては、やめ。それを何回か繰り返してようやく私に背中を向けた。  帰るのだろうかね。 「帰るわね!」  帰るらしい。  ……何しにきたのかしらこの子。  首を傾げて考える私だったが、入り口の扉に手を掛けたボンゴレアが唐突にこちらを振り返ったことに驚き、少し身体が跳ねそうになってしまった。 「あのさフォカッチャ……。その、ええっと、あんたさえその気ならさ、その」 「……?」 「いつだってうちに来ても良いんだからね。め、迷惑だからとかそんなのは……全然良いんだからね?」  ……!  私が彼女からの言葉を飲み込み、私が自分の言葉を彼女へと発するまでの時間は、微妙な間を生んでしまった。 「あ、ありがとう」  笑顔を浮かべるでもない、ただ面食らったであろう顔をしている私から出た言葉を聞くと、ボンゴレアもなんとも微妙な表情を私に寄越して店を後にしていった。
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