私の愛犬を探してほしい

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 狙撃……? 「狙撃とか知らないわよ、てかそれよりもこれなんとかしてよ! 気付かない間に私蛇口の頭取っちゃった!」 「気付かない間に取れる作りな訳ないでしょ!? あんたが意図的にやらかしたのよそれは!」  溢れる水を目の当たりにしたボンゴレアは怒りの感情を驚き、そして呆れに変えてこちらに駆け寄ってきた。 「まったくあんたと来たら! 店の外で佇んでる私に向かって鈍器を投げつけてくるかと思いきや」 「あ! 店のガラスが割れてるのはあなたの仕業? 弁償してよねボンゴレア!」 「お、お前の言い分は詐欺のそれだぞ……!」  私の言葉に驚きながらも、彼女は私から蛇口の頭を奪い取ると、それを本来ある場所に取り付け、手早くネジを締める要領で水の放出を止めてくれた。 「ふう。ちょっとびっくりしたけど、どうってことは無かったわね」 「そうね、グッジョブボンゴレア」  じとーーっ、とした目で睨んでくるボンゴレアが、私の足を黙って踏みつけてくるんだけど。  陰湿だね。 「これで許してあげるわ! バカやろう!」 「ゆ、許す気あんまり無いでしょ」  怒り収まらぬボンゴレアはふんふん猛りながら歩き、テーブル席に乱暴に着席した。 「か、帰りなさいよ。私もう用事は無いわよ?」 「あんたのマスターに文句言わなきゃ気が済まないの! ふふふふ、今日という今日はもうこれをネタにしてあのハゲゆすりにゆすってあげるわ!」  目が据わってらっしゃる。
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