私の愛犬を探してほしい

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 はあ、とため息を吐いたのはボンゴレアだ。 「犬ねえ」 「そうなの。犬なの」  冷蔵庫に取っておいた私のパイを見つけたボンゴレアはそれを私に無断で頬張りながら入り口に向かい、私に手招きをした。 「ちょっと来なさいなフォカッチャ」 「そ、外に連れ出して私をボコる気じゃないでしょうね」 「しないわよ! 私をどんな目で見ればそんな発想にたどり着くのかしらとっても不愉快!」  おそるおそるボンゴレアに近寄るが、本当に彼女は私に危害を加えるつもりはないらしく。 「あいつの犬を探してるんでしょ? なら黙って私に付いてきなさいな」  入り口の扉を開けたボンゴレアは店の外へ。  開けたまま私を待つ彼女に誘われるがまま、私も外へと。  石畳の細い路地は街灯と向かいのパン屋の明かりに照らされているだけなので、スリッパの私は気を付けていないと転んでしまいそうになる。  くねくねとした細い道の両側には平らな屋根をした小さな店が並ぶ。  近くに海があるせいで吹く、じっとりとした潮風が髪をもてあそぶ度に、ボンゴレアがうっとおしそうに髪をかきあげている。 「ど、どこに私を連れて行くのよ」 「なんでビビった顔をしながら両腕を胸の前で交差させて警戒した感じを出してるの? 犬探しを解決させてあげるって言ってるの。黙ってついてきなさい」  そう言うボンゴレアが向かった先は……。
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