私の愛犬を探してほしい

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 はあ、とわざとらしくため息を吐いてやった。 「なんだフォカッチャ、ため息なんて吐いて。あんまりため息を吐くと幸せが逃げるぞ」 「私にため息を吐かせてるのは貴方のせいなんですが?」 「ため息をあんまり吐くと客から敬遠され、やがては孤独がお前の唯一の友達になるだろう。それでも良いのか」 「や、やめときなさいよ。なんの脅しよ!」  表情がちっとも崩れないもんだからこの人の発言にはいつも困らせられる。 「ペペロンチーノジョークだ」  そして、この人は決まっていつもこういうのだ。  なんなんだそのジョークは。発祥の地からして謎。 「私の話はそれですよマスター」 「話は終わりだ」 「──なっ!?」 「ペペロンチーノジョークだ」  飛びかかってやろうかしら。  話の進まなさ加減もさることながら、ペペロンジョークまさかの連発。  吐きそうだわ。 「あのですね、マスター。この店の今後のこととかについて何か考えてます?」 「またその話かフォカッチャ。何度聞かれても、私は同じ答えしか言わんぞ」  私から再び皿を取り上げたマスターが皿磨きを再開する。
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