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――世界歴・525年――
――リリカル城――
新年になるともに、雪がちらついてきた。
真っ暗闇だった空が、微かに白く見える。
やがて雪の粒は大きくなり、手のひらの熱でも容易くは溶けなくなった。
ふう、と息を吐きだした。
白濁した吐息が雪と混ざる。
そして、消えゆく。
もう一度空を見上げた。
無数に降り注ぐ雪が犇めき合っている。
左右に揺れながら舞い落ちてくる。
明日の朝、この雪は積もっているだろうか。
( ’ t ’ )(……今は一粒ずつ見える雪も……積もってしまえば、みな一緒だ……)
地面に落ち、溶ける粒もある。
積もり重なる雪の一部となる粒もある。
雪の一粒だけが残ることは、ない。
空から舞い降りている間は個々として存在していても。
やがては、みな同じ運命に辿り着くのだ。
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