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家に帰ると真っ暗だった。いないのかなぁと思ったその時 「お姉ちゃん誕生日おめでとう!」 「おめでとう。」 と妹、お父さん、お母さんが迎えてくれた。 そうか、今日は私の誕生日だった。ずっと学校の出来事でいっぱいで誕生日のことをすっかり忘れていた。 「ハッピバースディトゥーユー」 と家族にお祝いされているとき、ふと思った。去年は紗月ちゃんも一緒に祝ってくれたのに、今年はいないなぁ。 だって紗月ちゃんはもう “友達” ではない存在だから……。 紗月ちゃんには、ずっと祝ってもらっていた。小1からずっと…。プレゼントを毎年くれて、去年は手編みのマフラーをプレゼントしてくれた。そのマフラーは今タンスの奥でもう見ることはなくなるだろう。 「ハッピバースディトゥーユー」 そして私はろうそくの火を消した。プレゼントは妹から折り紙、両親からはなんと、ケータイをもらった。私は嬉しくてたまらなかった。でも1つ、電話番号は両親といとこしか登録できないということがなんとなく普通だった。
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