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体育館にずらりと並んだパイプ椅子
僕らは一列ごとにそこに座っていった
静かになった体育館に先生の声が響く いつもは鬱陶しく感じるその声も、今日限りはそうは感じなかった
「もう皆とはお別れか」そう感じた
桜が咲き始めた 少し肌寒いこの日に僕らはここから散ってゆく
どれだけ咲いていたいと願っても、散るしかない
もう咲くことは出来ないんだ…
校長先生の前に並んだ生徒達
涙ぐむ生徒が順番に卒業証書受け取った
啜り泣く音と「はいっ」だけが響く いつもは馬鹿騒ぎする奴らも今日だけは静かに座ってた
「やっぱ卒業は嫌だな」そう思った
桜が咲き始めた 少し肌寒いこの日に僕らはここから散ってゆく
散るしか出来ないというのなら、華々しく
美しく散ってやろうじゃないか!
桜は散り終わった しかし寒さは感じなくなった 華々しく散った後から出る光と熱で
むしろ暖かくなった こうなることが出来るのなら……
「卒業も悪くないかもしれない…」……そう 思えた
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