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「もしかして……」
俺は運動場に走った。
他の人達の目に映る事など無いであろう早さで。
そもそも、今回の騒動でこの学園付近は立ち入り禁止になっているので見付かるわけが無いのだが。
「無い……」
そう、校章として飾られていた盾が、勇者の盾が無いのだ。
つまり……
「魔族達は……勇者の遺留品を奪う為に……?」
だとしたら、俺の右手に光るこの石も狙われるかもしれない。
早いとこ、この町を出ないとまた襲われるかもしれない。
そうなれば、アリスは……ハバルは……
あれだけ拒絶されても、やはり俺はあの2人が傷付くのは見たくない。と思ってしまう。
「何やってるんだろうな……俺……」
こうして俺は、この町を去った。
勇者の遺留品が失われた事がニュースになるのには、そう時間はかからなかった。
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