13人が本棚に入れています
本棚に追加
「なぁ~んで、こうなったかな?」
「何が?」
ゆりなの独り言に律儀に反応を返す隆史
今にも溜め息がこぼれそうなゆりなとは対照に、特に気に留めず、魚をつつく
「隆史君と一緒にご飯食べてるの」
「そりゃあ、お前が俺の命令聞くのは当たり前だろ」
「何で?」
「俺様だから」
「……」
毎回こんな会話をするもんだから、ゆりなもとうとう慣れきってしまっていた
ずずっと音を立てて味噌汁を飲み干し、隆史は手を合わせる
「ごっそさん」
「はいはい」
俺様男はテレビ前を独占し、スイッチをつけた
我が物顔でゆりなの所有物を扱うことに微塵の躊躇いもない
対する家主のゆりなは、そのまま片付けを始める
たまに聞こえる隆史の笑い声も、いつの間にかイライラしなくなっていた
.
最初のコメントを投稿しよう!