はじまりの話

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チャリ~ン 誰かの足もとで止まったキーホルダーに手を伸ばす 「足もとちょっとすみませ~ん」 身長180cmぐらいの大きな男だった 服装はシンプルなのに、地味というよりは爽やかなオーラをまとっていた 街角で通り過ぎれば、大半の人が振り返るであろう しかしゆりなは、男のことなんかは気に止めない むしろ、一言言っても何も反応しない人に、『この人不親切だな~。取ってくれるか、足退かすかしてくれればいいのに』と心で悪態をつく キーホルダーを手にとって顔を上げると、その人はこちらを見ていて、目が合った 「隆史君…」 ゆりなは血の気が引いていくのを感じた 隆史と呼ばれた男は目を大きく見開いて、ずっとゆりなを見ていた はっと我に返ったゆりなが少し目線を落とすと、男の手には“ピー”というものがあった 「ギャー!!!!!」 悲鳴を上げながら、ゆりなは全てのものをほおり出し、全力疾走で去っていった 悪魔か妖怪か… この世のものではないものを見たような、ものすごい顔だったという… その場には、数枚のDVDと、キーホルダーと、呆気にとられた男が残った .
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