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「毎年のことでげすが、この時期からつらいでやんすねえ」
まっつあんはお粥、通常の3倍以上に水ぼったい物を米が砕けなくなるまで煮込みながら、鼻毛を抜いた。
「バカ。いっちまえば、ただのゴミだ。むしろ、俺達は奴らの持ち物をてめえのもんにして、ありがたいぜ」
ギョロギョロした目の男はお粥をじっと見たまま生返事で答える。
まっつあんはそれに無言にしかなれなかった。
相手は先輩だ。
ここでは一般社会以上に上下関係が厳しい。
いや、それだけでもなかった。
まっつあんは別に同情を相手にもしていなく、朝の挨拶でなにともなしに話しただけであったから。
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