浮浪者とピストル

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*** まっつぁんとどぶろくは夕方のラッシュになると山手線の切符を買い、古雑誌やマンガを網棚やホームのゴミ箱から手際よく集めていた。 「ちっ。最近は不景気のせいか雑誌のノルマこなすのが厳しいぜ」 どぶろくはしきりに舌打ちしながら、雑誌を100均で買った大きなビニール製の手提げ袋に入れていく。 どぶろくはいつも暑いだの、ゲロまみれで汚いだの文句が多い。 まっつぁんはただ黙々と斜陽した産業革命の工場のように動く。 「ちっ。こりゃ一雨くるかもだぜ。早いとこ済まさないとお宝がゴミになるぜ」 まっつぁんも無言で頷き、急いで池袋駅改札を2人で出る。 北口の入り口の階段を上がると段ボールにお宝を急いで並べる。
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