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ゴールはドサッと床に座りこみ息を切らせている。
「どうぞ。」
と言いながら受付嬢はタオルをゴールに差し出した。
顔は笑うのを我慢するかのように震えている。
「…お前さん、密告ったな?」
「密告なんてしてません。渡さんの質問に答えただけです。」
「…もう、いいや。」
疲れきっているゴールは怒る気力もないようだ。
「今日はもう帰る。後のこと頼んでもいいか?」
「構いません。」
平然と答える受付嬢。
「よろしく。」
ぐったりとした様子で帰路に着くゴール。
そしてゴールは知らない。
転移したはずの渡が受付のカウンターの下から見ていた事を…。
そして自身が渡に尾行されていることを…。
そして思い知ることになった。
自分が誰を怒らせたのかを。
自分の対応がもっと速ければと反省することになった。
「あんなしょぼい依頼誰も受けないだろうし、先に仮眠とるか。」などと思うこともなくなった。
その日から数日間、ゴールは無断でギルドを休むこととなる。
なぜ休んだのかはゴールと渡のみが知っている。
ただ
復帰後、「井戸から女が、画面から女が…。」と呟くゴールが何度も目撃され、目撃情報は一カ月ほど止まなかった。
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