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「いいのいいの!これで帰ったら父さんに怒られる!」
レオ君は聞く耳を持たない。
「こういう時はありがとうって言えばいいのよ。」
サイアちゃんって結構優しいんだ。
「…うん。……ありがと。」
それから少し経って、校舎から出てくる人がいなくなった。
「貴女のお父さん遅いね。」
「…うん。」
サイアちゃんが不安げな声をあげる。
「レオ・ボーリングとサイア・トパーズだな?」
いつの間にか目の前には黒いローブの人が立ってた。顔には変なお面を着けてる。
「「「え?」」」
私達は三人とも気付かなかったみたい。
「貴族は粛清だ。」
ローブの人が言う。
「ま、まさか…。」
「公国の、『オニ』…?」
二人は顔色を悪くしてる。たぶん私も。でも、この人はお父さんじゃない。
「正解だ。」
「…違う…!」
「…なんだと?」
私はオニがお父さんだって知ってる。この人はお父さんじゃない。
「ちょ、ちょっと、メルトちゃん。刺激するのはダメだって!」
小声で私に言ってくるレオ君。
「…『オニ』は…そんな変なお面……してない…!」
「貴女、見たことあるの!?」
「…うん。」
サイアちゃんが驚いてる。変な事言ったらお父さんが『オニ』だってばれちゃう。
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