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公国の一室。例の如くロロの自室だ。メルトが学校に通い始めて一週間と経たないある日、その部屋に渡が呼び出された。 もちろん、公国最強の人間である『鬼』として。 ソファに腰掛ける渡。向かいのソファに同じく腰掛けるロロ。 今日はおふざけは無し。 「何かあったのか?」 話を切り出したのは渡。 「先日、君が奴隷商と貴族を大量に逮捕したのは覚えているだろう?」 「ああ、もちろんだ。」 重い口を開くロロ。渡は普段との空気の違いを自覚し、手短に返事をする。 「その中に本国の重役がいたようだ。返還を求められている。」 「本国って帝国のことか?」 「ああ。なにやら焦っているらしい。」 「手短に説明してくれ。俺の仕事もだ。」 ロロの様子から、事態は急を要することだと把握する。 「話が早くて助かるよ。 王国が帝国に宣戦布告した。それに伴い兵力の貸出と重役の返還を求められている。軍事関係者らしい。本当は僕らで解決するつもりだったんだが、そうもいかなくなった。 この戦争は帝国が勇者を攻撃したことを理由に始められるそうだ。帝国は事実ではないと否定している。 王国側から勇者が参戦する。帝国が最も恐れていた事だ。間違いなく多くの兵力が勇者に集中する。 今、この国では帝国への反発の風潮がかなり高まっている。そして、この国と王国の間には帝国。」 「もういい。解った。」 ロロの説明を遮る渡。
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