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人々の思いは様々。渡も解っているため、急かしたりはしない。が、彼にはあまり時間が無い。奴隷たちも助けなければならない。
「いないのであれば、俺はもう行く!!異論は無いな?」
付近の人間と話し合う民。
「待って!!」
一人、前へ出た。
「僕も連れてって…ください!」
少年。十歳をいくつも越してはいないだろう少年。
「…ああ。俺はそのために来た。他に俺と共に行く者はいるか!?」
少年を皮切りに、あちこちで自分もと声があがる。
「随分と勝手な事をしているじゃないか。」
転移で現れたのは赤のローブを着た人間。
「あ、あのローブは、『炎獄』!?」
「炎獄?あー、あんたオーバーランクか?」
渡はたいして興味も無さそうに赤いローブの人間に問う。
「その通り。私は帝国のオーバーランク炎ごグボファア!?」
「ワリィ、時間ないから。寝てろ。」
腹に一発右拳。数日間は腹痛に悩まされるだろう。
「はい、他はー?」
何事もなかったかのように話を進める。だが、勘違いしてはいけない。炎獄が弱いのではない。渡が強いのだ。
結局、貧困街の全員が集まる。
「じゃ、この中に入って。」
渡が空間魔法で入口を創る。
「まっすぐ進めー。」
繋がる先は公国城下の公園。
渡はまた走り始める。次は貴族の奴隷たちだ。
―――――――
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