義務と勇者と思惑と

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-side スピカ- あれから二日経ち、やっと男性が喋れるようになりました。 お名前はコースケさん。同じ年齢みたいです。まだ食事はあまり食べてくれません。 前の世界で何があったか教えてもらうのは厳しいでしょう。顔には深い愁いが浮かんでいます。 今日は玉座の間で召喚した理由と魔王討伐の依頼をしなくてはなりません。なので、今私達は廊下を歩いています。 「コースケさん。」 「なに?スピカ?」 最初は敬語でしたがやめてもらいました。今は玉座の間の扉の前。 「これからあなたを召喚した理由とあなたにやってもらうことを玉座の間で伝えます。また、その場で魔力の測定も行います。」 そう言うと、途端に顔が険しくなりました。理由は知りませんが勇者召喚が原因で何かあったのは間違いないでしょう。 「…それは決定事項なの?」 「はい。あなたはこの世界に勇者として選ばれましたので。」 コースケさんには申し訳ないけど、私にはどうすることも出来ません。 「そっか。」 そう、心がこもってない様な呟きが聞こえました。 ーside outー
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