一日目

10/16

22461人が本棚に入れています
本棚に追加
/499ページ
「漸く追い詰めたよ。」 「どうして僕らを狙う!!僕らが何をした!?」 自分の後ろに妹を隠しながら叫んでいる。その質問の答えは簡単だ。 「君達が魔族だからさ。」 「…ゼェ…おぇ…。そ、その通りだ…。」 あ、デネブさん追いついた。 「妹だけは助けてもらえないか!?僕はどうなってもいい!!」 「お兄ちゃん!?そんなの嫌だよ!!」 彼の目には覚悟がある。でも…。 「駄目だよ。僕は魔族だから狙っているって言ったんだ。二人とも仲良く消えてもらうよ。君の妹も離れるのは嫌みたいだしね。」 「くそっ!!」 少年が少女を抱きしめてこちらに背中を向ける。 「さようなら。せめて苦しまずに逝ってね。『ホーリージャベリン』」 魔法を、撃とうとしたんだ。 「させねぇよ。」 亀裂から出てきた腕。黒い袖に、同じく黒い革の手袋。僕の魔法を片手で受け止めた。 「…お前は!?」 「よぉ、勇者。随分と殺すことに躊躇いが無いな。」 亀裂から全身が出てきて、僕の前に立ちはだかるそいつは学校で出会ったあいつだった。 -side out-
/499ページ

最初のコメントを投稿しよう!

22461人が本棚に入れています
本棚に追加