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「漸く追い詰めたよ。」
「どうして僕らを狙う!!僕らが何をした!?」
自分の後ろに妹を隠しながら叫んでいる。その質問の答えは簡単だ。
「君達が魔族だからさ。」
「…ゼェ…おぇ…。そ、その通りだ…。」
あ、デネブさん追いついた。
「妹だけは助けてもらえないか!?僕はどうなってもいい!!」
「お兄ちゃん!?そんなの嫌だよ!!」
彼の目には覚悟がある。でも…。
「駄目だよ。僕は魔族だから狙っているって言ったんだ。二人とも仲良く消えてもらうよ。君の妹も離れるのは嫌みたいだしね。」
「くそっ!!」
少年が少女を抱きしめてこちらに背中を向ける。
「さようなら。せめて苦しまずに逝ってね。『ホーリージャベリン』」
魔法を、撃とうとしたんだ。
「させねぇよ。」
亀裂から出てきた腕。黒い袖に、同じく黒い革の手袋。僕の魔法を片手で受け止めた。
「…お前は!?」
「よぉ、勇者。随分と殺すことに躊躇いが無いな。」
亀裂から全身が出てきて、僕の前に立ちはだかるそいつは学校で出会ったあいつだった。
-side out-
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