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-side 渡-
康介の魔法を防いで魔族の二人組の前に立つ。
暴れている理由が判らなかったから、様子見で適当に空間を割ってみたら魔法撃とうとしてるからな。驚いた。
この二人組に怪我は無いだろう。間一髪ってところか。
いや、正確には間に合ってない。
康介が壊れている。ここまで抵抗が無いと思わなかったな。俺はもっと早くこいつに接触するべきだったのか?
いや、今考えてもどうしようもない。
「そこをどけ!!こいつらは魔族だ!!」
「そんなことは知っている。」
「なら、どうしてどかないんだよ!?」
本当に判らないみたいだな。
「お前は戦争を仕掛けてくる国の国民のすべてが悪だとでも?それに善悪は人の価値観によって変わる。我々にとって魔族が悪だとしても、魔族にとっては我々が悪だ。
俺にとっては、この抵抗が出来ない二人組を追い回すお前達の方がよっぽど悪に見える。」
「でも…。」
「でも、じゃねぇよ。反論があるなら、はっきり言え。」
「…。」
「無いのか。」
こいつは価値観を植え付けられた人間。日本でもテレビとかでよく自分の考えを大っぴらに語る学者がいるが、それを鵜呑みにしてしまったような場合の典型だな。
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