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だから俺は自分の意思で動けと言っているのに。
「お前は視野が狭いのか?魔族の二人組を殺そうとした時、後ろのおっさんの表情が酷かったぞ。なんかもう、グロテスクだった。」
とっさに後ろを向く康介。
「勇者よ。お前、利用されたな。」
俺の言葉を聞いて、ゆっくりと振り向いた康介は酷い顔をしていた。
「冷静に考えてみろ。帝国と戦う必要なんてあったか?どう考えたって、協力して戦った方が有利だ。王国と帝国で戦えば、どちら国も必ず消耗する。今回、帝国は滅びた。
今の王国に動ける兵士はどのくらいいるのだろうな。」
がたがたと震え始める康介。後ろのおっさんの顔がどんどん醜く歪む。
ズンッ
「カハッ…!」
おっさんを壁に叩きつけてみた。うん、反応できなかったね。
「勇者。」
「…なんだ。」
おーおー、顔を俯かせえたままかい。
「帝国と戦うように仕向けた男は誰だ?」
「…その床に転がっている男だ。」
「魔族を襲うように言ったのは誰だ?」
「…その男だ。」
どんどん声が小さくなるね。
「この国の王の側近は誰だ?」
「…その男だ。」
顔を上げたな。訝しげな表情だ。意味がわからないか。
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