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-side ナディ-
「ハァ…ハァ…。…ここって?」
一人で走っていると、町はずれの小さな教会の前に来た。白を基調とした綺麗な教会。中の礼拝堂には誰もいない。牧師もいない。
小さな教会に取り付けられたステンドグラスの前には十字架。私はその前に跪いて祈る。いや、罪ではないけど懺悔に近いのかもしれない。
なんとなく嫌な予感がした。不安だった。家族の制止を振り切って家を出た。家の中がピリピリしていたなんて嘘。みんな戦争の心配はしているけど、負けるとは思っていない。
家を飛び出してから、走って走ってワタルの家の前に来た。呼吸を整えてから家の人を呼ぶ。誰が出てきてもいいからワタルを呼んでもらおう。
出てきたのは一番会いたかった人。私も忘れていたデートの話。メルトちゃんには悪いと思ったけど、二人で出掛けることにした。
楽しもうと思ったのに。なんで私怒っちゃうかな。
ただ、ワタルの家でワタルにお帰りって言いたかっただけなのに。どうしてって言われて、ついカッとなっちゃった。
神様、どうかお願いします。私から大切な人を取らないでください。奪わないでください。私には彼が必要なんです。
ガバッ!!
え!?なになに!?
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