一刻戦争

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「…ちっ。もう魔力なんてほとんど無ぇぞ。」 ≪ハ、ハハハ!吸いつくしてやったぞ!≫ 高笑いする魔剣。その刀身には所々罅が入っている。 「康介ぇ!」 ≪ぬ!?放せ!!≫ 渡の近くでナビの傷を看ながら戦況を見ていた康介を大声で呼ぶ。返事を待たずに魔剣に駆けより鎬を康介に向ける。 「お前の剣だ、けじめつけろ!」 「!!…ああ、わかった!!」 ≪やめろ!これ以上魔法が当たれば…!≫ その拳に魔力を溜めつつ特攻する康介。 「我審判なり 善を助け 悪を打ち払う 光よ 我が許にその力を振るえ 『ジャッジメント』!」 光の魔法を込めた拳が魔剣に猛威を振るう。 ≪くそぉぉおおおおお!!!!≫ 「!?やっべぇ!!」 全体に広がる罅。漏れだす大量の魔力。慌てる渡。理由は単純だ。簡潔に言ってしまえば、今の魔剣は爆弾なのである。魔力と言う名の火薬を大量に仕込んだ爆弾だ。 「康介、これからは自分の意思で生きろ。」 早口で康介に伝える渡。魔力のほとんど残っていない渡は空間魔法で魔剣を飛ばせない。
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