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「おい、誰だよあれ‥」
「中等部からのやつじゃないよな‥。」
―――春。
俺――結城絢人は白萩学園に入学した。
この学校は初等部から高等部までエスカレーター式で進学できる名門私立の男子校だ。
しかも全寮制。
だからこの春から俺は寮に入る。
そのために荷物を持って来たのだが…、なんだか騒がれているみたいだ。
きっとこの容姿で騒がれているのだろう。
割と整った容姿だったから、大抵の人からは好かれてきた。
まあ、この容姿を有効利用はしているけども。
そんなこんなで周りからずっと騒がれてきたから、このくらいは慣れている。
むしろうっとうしいぐらいだ。
そんなふうに思っていると、突然後ろから声が飛んできた。
「アーヤっ!」
男の子にしては可愛らしい声に振り向くと、そこには中学からの親友――如月千暁【キサラギ チアキ】がこちらに駆け寄ってきていた。
「あ、ちーじゃん。」
「よかったあー、アヤと来る時間が一緒で。一人じゃ迷いそうで怖かったんだよね~。」
そう言ってニコニコと笑う千暁。
「ちーは方向音痴だからな。」
「もうっ!そんなに方向音痴じゃないよ!一人だと不安ってだけでーっ」
「はいはい。それじゃ俺は先行くから。」
「あっ!待ってよーっ」
意地悪をするようにわざと早歩きにすると、千暁が焦ったように追いかけてくる。
そんな千暁とともに寮へと向かう。
その向かう途中で千暁がぽつりと呟く。
「…なんかさ、この学園って噂通り、かっこいい人ばっかだね。」
千暁の言葉にふと周りを見渡す。
確かに一般的に見て、格好悪いというような人はぱっと見た感じではいなかった。
「本当に合格基準に容姿がいいかなんて、あるんだね~。」
千暁が感嘆したように言う。
中学で受験する際に噂には聞いていたけど、まさかそんな基準があるとは思ってもいなかった。
まあ、そんなところに受かった俺達も容姿はいいということなんだろうけど。
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