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寮で軽く手続きをすると、鍵を渡され、すぐ部屋を案内された。 さすが名門の私立高校だけあって、一人部屋の上に鍵がカードキーだ。 そして案内された部屋は二人部屋らしく、入り口にあるネームプレートを見ると、『黒澤人【クロサワ マサト】』と俺の名前があった。 「黒澤‥聖人‥?」 どんな人なんだろうと思いながら、先ほど受けとったカードキーで鍵を開けて部屋に入る。 するとそこにはリビングルームのような空間があり、左右に1つずつ扉があった。 そこにはテレビやソファー、簡単な料理が出来るくらいのキッチンまである。 さらには浴場までも常備されていた。 左右にある個室に入ってみれば、ベットや机、クローゼットなどが置いてあった。 まるで1人暮らしの部屋のような設備に驚かずにはいられない。 普通の高校生がこんな待遇を受けていいものなのか‥? まあ、この学園はお金持ちの御曹司だのエリートなどがたくさんいるのだからこのくらい普通なのかもしれない。 こんな裕福な生活をしたことがない俺は、これを普通には思えなかった。 そしてこれから始まる生活に驚きと戸惑いを抱いてばかりになりそうだと感じた。 そんな中、ノックの音が聞こえる。 「アヤ?僕だけど‥。」 聞き慣れた声にドアを開けるとそこには千暁がいた。 「どうした?」 「うん‥なんか、寮生活とか初めてだから緊張しちゃってさ。」 恥ずかしそうに照れ笑いする千暁を部屋の中に入れる。 「まあ、寮もこんなに凄いとは思ってなかったしな。」 「ほんとすごいよね~。僕、びっくりしちゃった!…あっ!そういえばね、僕の相部屋の人、同じ学年の人らしくてね、結構かっこいい人だったんだ!しかも優しそうでさ~…」 新しく始まる生活を楽しそうに話す千暁を見て、なぜだかわからないがふと中学時代のことを思い出した。
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