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[出石和海の紹介~小説的目線~]
まだ暑い季節でも無いのに、脇や、リュックを掛ける背中から噴き出す汗。
三本の横皺が走る額や、出来の悪い、大きなひしゃげた苺の様な鼻からも迸る脂汗。
彼の名前は出石和海…
まだ4月なのに、真夏を彷彿とさせる、でぶった体に纏う、Lサイズのぱつぱつのタンクトップに、元は爽やかなハワイアン・ブルーだったのだろう、似合いもしない、黄ばんだアロハシャツ。
3個開けたシャツの、はだけた、脂肪だらけで汗ばみ、ぬるついた首に食い込む、豚の首輪にしか見えない、骸骨と十字架のネックレス。
掘り出したばかりの土付き大根の倍はある、山芋の様に毛深く、良い言い方で立派、悪い言い方でだらしない豚足…嫌、足。
これまた見苦しい、明らかにサイズ違いの、元は鮮やかなベージュに黄色のラインが入っていた、所々染みや、解れ、破れがある、短パン。
靴下を履かずに履いた、異常に横幅の広い運動靴。
更に、常に黄ばんだ味噌っ歯が覗く、半径1m以内が刺激臭に包まれる口臭。
剃らずに無法地帯となった、無精髭。
ほぼ無いに等しい二重顎。
常に無精髭と脂のテカりで覆われる、腫れぼったい下膨れの頬。
頬同様に、マシュマロに切れ目を入れた様な腫れぼったい瞼に線の様な目。
その上にある、毛虫を彷彿とさせる、繋がった眉。
まるで鱈子の様に分厚い唇。
傷んだモップの様に縮れ、肩かかる程伸び、フケにまみれた髪。
ひしゃげた苺の様な鼻から飛び出す、自己主張の強い鼻毛。
彼は、一歩間違えればホームレスに間違われる出で立ち…これが彼のいつものファッションだ。
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