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「また貴女ですか…」 「なんで輝之さんの隣に、お宅のメイドが張り付いてるのよ。」 「気が合うみたいですよ。不都合でも?」 しれっとそう答えると、夏目は口唇を噛み締めた。 「…邪魔しないでよ!」 「その言葉、そっくりお返ししますよ。貴女と朽木さんに何があったかなんか、知った事じゃない。 でも、この場の空気を力ずくでも壊すと言うなら、俺は躊躇なくアンタを潰す。」 俺は、あれほどまでに不自由だと感じていた『浪川の後継』を今は不快だとは思っていなかった。 彼女も一応は、浪川の血を受け継いでいる筈。それなのに全部を自分の利益に繋げられる精神は、夏目の血のなせる業なのだろう。 「輝之さんに伝えて。私は納得してないのよって。」 「嫌です、面倒臭い。」 上から目線の懇願を、俺は平気で叩き潰した。 「お願いじゃないのよ、命令。」 「なおさら拒否ですよ。俺は、朽木社長に気持ちよく、京都から自宅に帰ってほしいんで!アンタとあの人の間にどれ程拗れた色恋沙汰があるか知りませんが、一応仕事。それも研修の一環ですからね。」 暫く俺と睨み合い夏目は、降参したみたいに視線を外した。 「頭が固いのよ。」 「普通だと思いますよ。」
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