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ザワザワ騒がしい中、編集長が入ってくる。
うちの編集長はやり手で通っている。
29歳という若さで編集長になっている事が確たる証拠だろう。
「工藤、ちょっと来い」
いきなり名指しで呼ばれ、また何かミスをしたんじゃないかと一瞬顔が引き攣る。
重い足取りで編集長の元へ行くと、こっちと言われ、小会議室へと場所を移動した。
何を言われるかと内心ヒヤヒヤしながら編集長の言葉を待つ。
「……工藤、お前清水先生と知り合いだったのか?」
「へっ!?」
思わずマヌケな声を出してしまう。
全くもって知り合いなわけがない。
それどころか、清水春紀は写真嫌いで有名で、顔すら拝んだ事もないのだ。
一体編集長は何を言っているのだろう。
何か勘違いをしているのだろうか。
「いえ、会った事も話した事もありませんが……」
編集長も不思議な顔をして私を見ている。
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