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「あの、もしかして別の工藤さんなんじゃ……」
そうだ。うちの会社に工藤がもう一人いる。きっとそっちに違いない。
「いや、それはない」
編集長、今サラっと言い切りましたね。
「なにせ、工藤美月とフルネームでの指名だったんだよ」
「はい!?」
余りにもすごい話しで頭がついていかない。
「とりあえず、こんなチャンスは二度とないかもしれない。お前、やれるな?」
「ちょっ、待ってください。いきなりそんな事言われても、私まだ入社して半年ですし、担当なんて今まで付いたこともないです」
編集長はふぅ、と息を吐くと私の目をまっすぐ見る。
「わかってる。けれど、これはうちの会社を大きく左右する問題だ。あの清水先生がうちで連載を書いてくれるなんて話、担当やった事ないからで断れるわけがない」
いや、確かにそうかもしれませんが……
「それに、指名してきたとはいえ、お前が知らないならもしかしたら何かの間違いって事もあるかもしれない。全面的に俺もバックアップするから、頼む」
そこまで言うと、編集長が私に頭を下げた。
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