01

17/20
前へ
/24ページ
次へ
「お、おぃ、工藤」 編集長は私の顔を見て慌てた様に肩を揺らした。 「へ、編集長……知ってました」 「は?工藤大丈夫か?」 そぅ、その名刺を差し出してくれた人こそ、清水春紀で、昨日私が失態を晒してしまった人…… こんな、偶然なシチュエーションありきたりなドラマみたいな、現実じゃ有り得ない話し。 「あ、あの、色々言いたい事が……あの、その、すいません……あの、ありがとうございます」 しどろもどろになりながらも、自分の名刺を受け取ると、一枚取り出し差し出した。 「いや、昨日頂いたではないですか。ちゃんとここにありますよ」 昨日は見せなかった優しい笑顔で私の名刺をちらつかせた。 もう、何を言いたいのか、何を言えばいいのかわからない。 清水春紀が昨日の人で、昨日の人が清水春紀で、え~と、え~と…… クッ、と笑い声がして清水先生を見る。 「いや、失礼しました。あまりにも驚いている様だったので」
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

11人が本棚に入れています
本棚に追加