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私が出版関係の仕事につきたいと思ったきっかけは、一冊の小説だった。
北海道に住む車輌整備工場で働く男性が、離婚で離れた父親が亡くなり、身寄りのなくなってしまった異母兄弟を育てる事になる話だった。
特に小説などに興味がなかった私が、たまたま書店で手にしたこの本で、私の人生感が一気に変わったのを覚えている。
あまりにも、背景描写や感情描写が繊細で、その世界観に魅了された。
かと言って自分が小説など書けるわけがなく、少しでもそうゆう世界に携わりたかった。
それまで小説を読まなかった私が月に2冊以上の割合で読むようになったのには、自分が一番驚いている。
その作品は、当時まだ無名だった彼、清水春紀(しみずはるき)の処女作で、今では出せば売れるようなベストセラー作家となっていた。
彼が出す本は今は恋愛物が多いが、処女作は家族愛をテーマにした作品で、今でも私のバイブルになっている。
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