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「ったくセンターも人使いが荒い。こんな僻地を歩いて渡れとは。」
とある荒野の一角。
一人の男がぼやきながら歩いていた。
男は全身を黒いマントで包み、その手には木の杖を持っている。
男が向かう先はひたすらに荒野。
端から見れば完全に遭難の図である。
だが、ぼやく男には一向に焦る様子は見られない。
と、男の胸元から呼び出し音が鳴った。
「あいこちらシグマ。」
男が胸元から端末を取り出し耳にあてると無機質な女性の声が流れてきた。
「お疲れ様です。例の少女の現在地がわかりました。NSR領"死の谷"です。」
「死の谷!?まずいな。俺の到着予想時刻は?」
「およそ8時間後の夜9時ですね。」
「わかった。とにかくターゲットに死んでもらっちゃ困る。次の町のギルドにマスク準備させといてくれ。」
「既に手配しております。」
「すまんな。それじゃまた連絡する。」
男は端末を懐に仕舞うと再び歩き出した。
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