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すると、ロキもゆっくりと構える。
両手を僅かに横に広げる。
すると、ロキの両手に赤い光が宿る。
「『天王』の力、見せていただきましょうか」
ヒュッ!
小さく呟いた瞬間、ロキの姿が消える。
瞬く間に、ロキは零の背後に回り込んでいた。
そして、赤い光を纏った手刀が真っ直ぐ零の首筋に向けられる。
だが、零は振り向かずにかがんで手刀を回避する。
「ほう」
回避されたというのに感心するように小さく笑うロキ。
「らぁっ!!」
しゃがんだまま蹴りを後方に向けて放つ零。
(すごい…身体が勝手に動く…。いや、分かるのか?戦い方だけじゃない、相手の動きが)
自身でも驚きを隠せない程、錐夜零の身体能力は向上していた。
いや、もはや向上なんていうレベルではない。
全く別の身体のように、身体が軽く、簡単に思ったように動く。
(これがバハムートの力なのか?)
『勘違いすんなよ、零』
と、頭の中に再びバハムートの声が響く。
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