序章

8/33
前へ
/33ページ
次へ
少女は自分の無力さを噛み締める。 「おい、蓮、あれって」 「うん、間違いない。恵比須グループの社長の息子、総得だよ」 「あぁ、各地で幾多の悪行を繰り広げていると専らの噂だ。やって来た事は恵比須グループが揉み消しているらしい。」 「「秀二、いつの間に…」」 「」 気付けば店からは客はほとんど消えていた。恵比須が戻って来た時、自分も被害に遭うかもしれないからだろう。 「うぅ…僕のカード…お母さんが買ってくれた僕のカード…」 「…」 未だに地に伏して泣いている少年を見て綾は思う。 やっぱりそうだ。 力のある者が力のない者に権力を振りかざす。 いつだって、どこでだって人間はそんなものだ。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加