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「はぁっ……はぁっ……」
クソっ!
こんなハズじゃあ……
「チッ…!」
俺は走っていた。
入り組んだ裏路地に逃げ込み、必死に走る。
ただでさえ狭い道が、住民の置いた荷物やゴミで、ますます走り辛い。
穴のあいた鍋を蹴飛ばして、毒づく。
後ろを確認する暇もない。
無造作に立てかけられた、棒状のなにかに一瞬、足をとられる。
バキュュン!
鋭い音と共に、先程走り抜けた壁が、小さく弾ぜた。
細かく砕かれた石が、俺の腕にふりかかる。
「もう追いついたのか!?」
クソっ!
いったいどうなってんだ!!!
なんで俺がこんな目にあってるんだ!?
どこで間違えた!?
ええい……今は逃げる事だけに集中するんだ俺!
足をもつれさせながらも、前に進む。
転けるように角を曲がる。
さっきよりも広めの道に出ちまったが……今は走りやすい方がいい!!
背後の追跡者を振り切るために、一直線に駆け出す。
次はそこの角を左だ!!
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